2016年1月からスタートした、未成年者対象の少額投資非課税制度「ジュニアNISA」。
2023年の廃止を目の前に、口座開設数が急増していることをご存知でしょうか。今回は、廃止決定後にジュニアNISAの人気が上昇している理由や、今から駆け込みで加入するメリットを解説します。ジュニアNISAの始め方や運用方法、おすすめの銘柄も紹介しましょう。
ジュニアNISAとは何か?
ジュニアNISAとは、子供の将来に向けた資産形成を目的とする、未成年者対象の少額投資非課税制度です。ジュニアNISAは開設する年の1月1日時点で19歳以下の方が対象となっています。
本来、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、譲渡益や配当金に対して約20%の税金がかかります。しかし、ジュニアNISAにおいては年間80万円分の非課税投資枠が設定され、80万円の範囲内で購入した金融商品から得た利益に税金がかかりません。
また、ジュニアNISAには、1万以下からでも購入できる銘柄もあり、少額でスタートできるのが特徴です。
▽ジュニアNISAの概要
利用可能な人 | 日本在住、開設する年の1月1日時点で19歳以下の方(※1) |
---|---|
非課税対象 | 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益 <非課税対象となる投資商品> ・上場株式(上場新株予約権を含む) ・日銀出資証券 ・上場優先出資証券 ・上場新株予約権付社債 ・ETF(上場投資信託) ・上場REIT(不動産投資信託) ・公募株式投資信託の受益権 ・外国上場株式等 など |
口座開設可能数 | 1人1口座 |
非課税期間 | 最長5年間 |
非課税投資枠 | 年間80万円まで |
投資可能期間 | 2023年で修了 |
払出し | 口座開設者が3月31日時点で18歳である年の前年の12月末まで不可能 |
※1 成年年齢の引き下げに伴い、2023年は、0歳〜17歳の方がご利用いただけます。
ジュニアNISAは未成年者が自分で取引して資産運用を行うことはできません。原則として、親権者や祖父母(二親等以内の親族)が代理で運用します。
また、ジュニアNISAは利用者が、3月31日時点で18歳である前年の12月31日までは、お金を引き出すことができません。払出しを行った場合は、ジュニアNISA口座が廃止され、原則として過去に非課税で支払われた配当金や過去に非課税とされた譲渡益についても払出し時に課税されます。
ただし、災害時など、やむを得ない場合には、非課税での払出しが可能です。
ジュニアNISAで取引が可能な商品
ジュニアNISAで投資できる商品は下記の通りです。
- 投資信託 : 投資専門家がお金を集めて資産運用する手段
- 国内株 : 日本国内の証券取引所に上場している株式
- 外国株 : 外国の企業が発行している株式
- 国内ETF : 日本国内の証券取引所に上場された投資信託
- 海外ETF : 海外の証券取引所で上場された投資信託
- ETN(上場投資証券) : 発行した債権を上場し売買できるようにした金融商品
- 国内REIT(J-REIT) : 不動産投資信託
- 海外REIT : 海外不動産投資信託
- 新株予約権付社債(ワラント債) : 新規予約権がついた社債
ジュニアNISAは口座開設する金融機関によって取引扱い商品が異なります。
ジュニアNISAを早く始めた方がいい理由とは何か?
- 2023年でジュニアNISAの運用は終了
- 節税対策
ジュニアNISAを検討している人は、なるべく早めに始めることをおすすめします。ジュニアNISAには終了期間があり、期間を過ぎてしまうと後から加入できないので注意してください。それでは、ジュニアNISAを早く始めた方がいい理由2点をそれぞれ説明します。
2023年でジュニアNISAの運用は終了
ジュニアNISAは2023年12月末で廃止されるため、廃止前に申込みをしないと加入できません。通常ジュニアNISAは、18歳以上にならないと払出しはできない制度でしたが、2024年以降からは縛りがなくなり払出しが可能です。
ただし、2024年以降からは保有している銘柄だけ運用でき、新規で銘柄を買付けることができません。ジュニアNISAの資産運用をしっかり行いたいなら、2023年末までに銘柄の買付けを済ませておく必要があります。
節税対策
ジュニアNISAは加入してから最長5年間は、年間80万円までの利益に対して非課税となります。一般的に株式取引などの投資をする際は、特別口座を使って金融商品の売買を行い、利益に対して20%の税金を支払わなければなりません。しかし、ジュニアNISAでは年間80万円までは一切税金がかからないため、子供の将来を考えた資産運用として、とてもお得な制度です。
また2023年にジュニアNISAが終了しても、18歳になるまでは「継続管理勘定」に移して運用可能です。投資は長期運用していくほど結果になりやすく、さらに子供の未来を考えるなら、早めにジュニアNISAに加入することをおすすめします。
2023年のジュニアNISA廃止後はどうなる?
- 新しく投資できるのは2023年末まで
- 払い出し制限の解消
- 成人になるまで非課税で運用できるが、ロールオーバーが必要
ジュニアNISAは2023年で廃止ですが、すでに加入している人は継続利用できます。ただし、制度廃止以降は一部運用方法が変わるので注意してください。
新しく投資できるのは2023年末まで
ジュニアNISAでは、金融商品を購入できる期間は2023年末までです。それ以降は継続管理勘定に移行して、18歳になるまで既に保有している銘柄のみの運用となります。そのため、保有している銘柄の売却は可能ですが、新たに買付けはできません。なお、分配金や配当金は継続して非課税となるほか、売却時に得た利益も非課税となります。
払い出し制限の解消
これまでのジュニアNISAでは、銘柄の売買は可能でしたが高校3年生の12月末までは、口座から資金を引き出すことはできないルールでした。しかし、やむをえない場合に限り引出しが可能で、その場合は今まで得た利益や、受け取った配当金すべてに対して課税されるという制度でした。
しかし、2023年にジュニアNISAが廃止されることに伴い、2024年以降はいつでも保有銘柄を売却して払出すことが可能です。注意点として、運用の一部だけ払い出すことは不可能で、全額を払い出す形となります。そのため、ジュニアNISA口座に資金を残して、一部の銘柄を売却してお金を引き出すことや、配当金を受け取るような運用はできません。
つまり、一度引出しすると全額引出ししなければいけないという形になり、その時点でジュニアNISAは終了ということになります。
成人になるまで非課税で運用できるが、ロールオーバーが必要
ジュニアNISAは最長5年まで非課税になりますが、それ以降も成人になるまでは非課税での運用は可能です。ただしその場合は、新たにジュニアNISA口座に移し替えるための、ロールオーバーの手続きが必要です。金融商品をNISA口座やジュニアNISA口座で保有しているときに、翌年の非課税投資枠に移すことができますが、この非課税枠に移すことをロールオーバーといいます。
非課税枠を有効に利用するため、非課税期間が終了する年の末までに、「ロールオーバー依頼書」を提出しましょう。
2024年以降の仕様について
ジュニアNISAの非課税枠は最長5年ですが、2023年で制度廃止のため満期を迎えていない状態でも、非課税で運用するならロールオーバーしないといけません。ロールオーバーして継続管理勘定に移行すれば、引き続き非課税で運用が可能です。なお、成人になるまで保有中の銘柄を運用できますが、新規での買付けはできません。
NISAとジュニアNISAの違いについて
ジュニアNISAと一般NISAはどちらも少額投資非課税制度で、投資で得た利益にかかる税金が最長5年間非課税になるという仕組みは両方とも同じです。しかし、ジュニアNISAは0歳から加入できますが、NISAは20歳以上でないと加入できません。ジュニアNISAは一般NISAの子ども版という位置にあることから、利用限度額もNISAと比べて低く設定されています。
ジュニアNISA | 一般的NISA | |
---|---|---|
加入条件 | 0歳~19歳 | 20歳以上 |
必要確認書類 | ・非課税口座開設届出書 ・マイナンバーカードなど |
・未成年者非課税適用確認書 ・未成年者口座開設届出書 ・未成年者のマイナンバーカードなど |
利用限度額 | 年間80万円まで非課税 | 年間120万円まで非課税 |
非課税期間 | 最長5年間 | 最長5年間 |
制度利用期間 | 2023年12月末まで | 2028年12月末まで |
対象金融商品 | 株式、投資信託、ETFなど | 株式、投資信託、ETFなど |
運用管理 | 親権者(両親、祖父母) | 本人 |
払出し | 原則18歳まで払出しできない (2024年以降は払出し可能) |
なし |
金融機関の変更 | 不可 | 年単位で変更可能 |
※引用元:NISAとは? : 金融庁
また、NISAは加入している本人自身が資産運用できますが、ジュニアNISAは親権者に運用権利があるため、子供自らが資産運用することはできません。
課税ジュニアNISA口座とは?
課税ジュニアNISA口座とは、通常のジュニアNISA口座(年間80万円非課税)とは別の取引口座のことです。ジュニアNISA口座で取引して得た売却代金や配当金が、この課税ジュニアNISA口座に移され管理されます。また、課税ジュニアNISA口座で管理している資金で取引したり、ジュニアNISA口座に非課税枠があったりすれば、取引する際の資金として利用することも可能です。
ジュニアNISAと未成年口座の違い
- 未成年口座の場合
- ジュニアNISAの場合
未成年者の資産運用として開設できる口座は、ジュニアNISA口座の他に未成年口座があります。
ジュニアNISA口座 | 未成年口座 |
---|---|
年間80万円まで非課税 | 課税される |
金融機関の変更ができない | 金融機関の変更可能 |
2023年末で終了 (ロールオーバーすれば19歳まで利用可能) |
19歳まで利用可能 |
※一部引用:日本証券業協会
未成年口座はジュニアNISA口座のような非課税枠がなく、投資で得た利益は課税対象となります。ジュニアNISA口座は制度廃止により、2023年末までしか金融商品の新規購入ができませんが、未成年口座では19歳まで新規購入が可能です。
なお、未成年口座の開設条件は満20未満の未婚者となっています。そのため、20歳未満であっても結婚していれば成人扱いとなり、口座開設できないので注意しましょう。
未成年口座の場合
未成年口座の場合、以下の3つのメリットがあります。
- 子供に投資教育ができる
- IPO投資に申込みができる
- 生前贈与の際に税金がからない
未成年口座は言葉のとおり未成年の段階から口座開設できるため、子供の将来の蓄えとして利用できるほか、マネーリテラシーを養う目的としても使えます。
未成年口座はIPOの抽選に申込みが可能です。IPOとはこれから上場を果たす新規公開株のことで、未成年口座で当選すればこのIPOを手に入れることができます。IPOのメリットは、新規公開株を適正価格より安く手に入れられるので、企業が上場すると株価が値上がりして、大きなリターンを得られる可能性があります。さらに特定口座と未成年口座の両方から、IPO投資の申込みもできるため、当選確立を上げる利用法としてもおすすめです。
3つ目の利点として未成年口座は、非課税で生前贈与できる点です。子供が成人して結婚したあとに、子供を授かった際に、財産をその子供(孫)に渡してしまうと贈与にあたります。未成年口座には贈与税に対して、1人当たり年間110万円までの非課税枠があるので、ほとんどの税負担をカバーできるメリットがあります。
ジュニアNISAの場合
ジュニアNISA口座と未成年口座の最大の違いは、非課税枠があるかないかの違いです。未成年口座では利益に対し、譲渡益課税(じょうとえきかぜい)として約20%の税金がかかります。
例えば、未成年口座では利益10万円に対して20%の税金がかかるため、自分のところに来るのは8万円となり2万円も取り分が減ってしまいます。しかし、ジュニアNISA口座では10万円の利益が出た場合、課税されることなくそのまま10万円が自分の利益です。
したがって税金の面を考慮すると、ジュニアNISA口座がお得だといえます。
ジュニアNISAのメリットについて
- 年間80万円は非課税である
- 子供の投資教育機会になる
- 制度終了の2023年以後も非課税でロールオーバーが可能
- 貯蓄しながら運用でき、教育資金が可能
- 非課税投資枠を増やせる
ジュニアNISAには様々なメリットがありますので、以下にご紹介します。
年間80万円は非課税である
前項の解説の通りジュニアNISAは、年間80万円の非課税枠が設けられています。通常なら株式などの取引には特定口座を用いるため、利益に対して約20%の税金が発生します。そのため、利益が増えれば増えるほど、税金も大きくなるデメリットがあります。しかし、ジュニアNISA口座なら投資で得た利益は、年間80万円までは税金が一切かかりません。
さらに最長5年間の非課税期間がありますので、最大400万円の非課税投資が可能です。なお、銘柄購入で発生する手数料や消費税は、年間80万円の上限には含まれません。ジュニアNISは子供の将来の教育費の蓄えとして、効率よく資金を貯められる可能性が大きくなります。
子供の投資教育機会になる
ジュニアNISAは0歳から口座開設できるので、子供に実際に投資体験をさせられるメリットがあります。ただ、あくまでジュニアNISA口座の運用は親権者になりますが、投資を身近なものとして触れさせることで、子供の投資教育に繋がるといえます。
現代の日本ではコロナ禍も踏まえて、将来に対する不安が大きくなっているのが現状です。例えば雇用状況の悪化や終身雇用の廃止などにより、安定した仕事に就いて定年まで勤めあげるというスタイルは変わりつつあります。そのため、未来に備えて投資が重要視されている日本では、子供の投資教育としてジュニアNISAは最適なものといえるでしょう。
制度終了の2023年以後も非課税でロールオーバーが可能
ジュニアNISAは2023年末をもって廃止となりますが、2023年以内にロールオーバーで継続管理勘定に移せば継続して利用可能です。継続管理勘定に移行すると新規で投資することはできませんが、それまでに購入している銘柄による分配金や配当金の利益に対して、引き続き非課税となります。
また本来であれば、18歳になるまでお金を払い出すことができません。しかし、2024年以降は払出し制限が緩和されるため18歳未満であっても、いつでも非課税で引き出すことが可能です。ただし、資産の一部だけ引き出して、残りは資産運用するといった利用は不可能です。また、ジュニアNISA口座から引き出した時点で、ジュニアNISAの利用は終了となります。
貯蓄しながら運用でき、教育資金が可能
ジュニアNISAは子供の将来の教育費用に備えるため、非課税枠を設けることで効果的な資産形成を目指していく制度です。また日本はマイナス金利の影響により、銀行口座に資金を預け入れているだけではお金を増やすことはできなくなりました。そのため、普通に銀行口座に貯金するだけでは、子供の教育費が必要になったときに、必要な資金を用意できない可能性があります。
実際に子供が成人するまでに発生する教育費は以下の通りです。
公立 | 私立 | |
---|---|---|
小学校 | 約192万円 | 約922万円 |
中学校 | 約144万円 | 約402万円 |
高校 | 約123万円 | 約297万円 |
大学 | 約485万円 | 文系696万円 理系880万円 |
引用:アセットキャンパス(OAG税理士法人)
上記の通り、子供の教育費で特にかかるのが大学の入学金と授業料です。子供の将来のために資産形成するなら早い段階で行った方が有利で、その有効法としてジュニアNISAが得策といえるでしょう。
非課税投資枠を増やせる
家族全員がNISA口座を開設している場合、家族一人ひとりがNISA口座を開設することができます。家族でNISA口座とジュニアNISAの口座開設をすることにより、非課税枠を家族全員で共用することが可能です。例えば、両親がNISA口座を持っていて、子供二人がジュニアNISA口座を持っている場合でみてみます。
(例)父親NISA口座(非課税枠120万円)+母親NISA口座(非課税枠120万円)+子供ジュニアNISA口座(非課税枠80万円)=合計の非課税枠320万円
家族で非課税枠を共用することにより、年間で320万円の枠が非課税として世帯として利用が可能になります。つまり、ジュニアNISA口座があることで、非課税枠を増やせるメリットがあります。
ジュニアNISAのデメリットについて
- 損益通算が不可能
- 元本割れの可能性
- ジュニアNISAから途中引き出しは課税対象に
- 金融機関の変更が不可能
- 投資商品のリバランスが困難
- 特定の商品でないと非課税にならない
ジュニアNISAにはメリットが多い反面、デメリットもありますので確認しておきましょう。
損益通算が不可能
ジュニアNISA口座では損益通算することができません。基本的に特定口座や一般口座などを使った投資による損失が出た際、その損失を他の取引口座と損失を通算することで、利益に対して支払う税金を減らせます。
しかし、ジュニアNISA口座では損失通算ができないため、ジュニアNISA口座で損失が発生して特定口座では利益が出ても、それらの損益を差し引きできないので注意が必要です。ただし、課税ジュニアNISA口座であれば、確定申告のときに特定口座と一般口座の損益通算が可能になります。
元本割れの可能性
ジュニアNISAは元本保証がされている制度ではありません。あくまで非課税枠を活かして、資産形成を効果的に行っていこうとする制度です。そのため、ジュニアNISAには投資による元本割れのリスクがあり、株価が暴落するといった事態が起きた場合は損失を抱える可能性があります。
したがって、ジュニアNISAは必ずしも安全に資産形成できるものではなく、投資による一定のリスクがあることを念頭に入れておく必要があります。
ジュニアNISAから途中引き出しは課税対象に
原則的にジュニアNISA口座に入っているお金は、子供が成人になるまで(3月末時点で18歳となる年の前年の年末)引き出すことはできません。災害などの場合を除いてお金を引き出すと、過去に得た配当金や分配金などの利益全てが課税対象となります。
ジュニアNISAの払出し制限が緩和されるまでの運用期間は18年間で、払出しができるタイミングは子供が高校3年生になって1月を迎えたときからです。つまりそれまでの間、ジュニアNISA口座からお金を引き出さなくても、生活に支障がない経済設計が求められます。
金融機関の変更が不可能
ジュニアNISAは一度口座開設すると金融機関の変更はできません。金融機関の変更をしたい場合は、そのジュニアNISA口座を一旦廃止する必要があります。ただし、口座を廃止する際は保有銘柄の売却を行うため、それまでに得た利益に対して課税されてしまいますので注意をしてください。
ジュニアNISA口座を開設して、一度も取引していない状態であれば変更も問題ありませんが、一度でも取引して利益を得ている場合は、変更するのが難しいといえます。
投資商品のリバランスが困難
ジュニアNISAのデメリットは、投資商品のリバランスが難しいことです。通常の株取引では価格の状況に応じて、売り買いしてリバランスするのが基本です。しかしジュニアNISAでは、年間80万円の非課税があっても買いのみで、銘柄を売ったことで出た空き枠を再利用できないため、リバランスが難しいというデメリットがあります。
この対策としてジュニアNISAでは、個別銘柄を自分で選んで投資するよりも、リバランス機能が付いている投資商品を選ぶことでカバーすることができます。
特定の商品でないと非課税にならない
ジュニアNISAでは全ての金融商品が非課税になるわけではありません。ジュニアNISAで非課税になる金融商品とならない商品は以下の通りです。
非課税対象の金融商品 | 非課税にならない金融商品 |
---|---|
株式投資信託 国内株・外国株 国内ETF・海外ETF ETN(上場投資証券) 国内REIT・海外REIT 新株予約権付社債(ワラント債) |
非上場株式 預貯金 債権 公社債投資信託 MMF・MRF eワラント 上場株価指数先物 FX(外国為替証拠金取引) CFD |
※引用:金融庁「ジュニアNISAの基礎知識」
ジュニアNISAでは限られた金融商品の中で取引しながら、非課税枠である年間80万円以内でリバランスしていく投資能力が求められます。
ジュニアNISAに贈与税はかかる?
- 非課税上限80万円の利用だけなら贈与税はかからない
- 年間110万円を超える贈与には注意
- ジュニアNISAの生前贈与活用例
ジュニアNISAを活用する上では、贈与税がかかるのかどうかも気になりますよね。贈与税に関する注意点や生前贈与の活用例なども以下に解説します。
非課税上限80万円の利用だけなら贈与税はかからない
基本的にジュニアNISA口座のお金だけを、子供や孫に渡す場合は贈与税がかかりません。年間110万円以内(年間基礎控除額110万円)であれば、贈与税は発生しないようになっています。また、ジュニアNISAは年間80万円の非課税枠のため、非課税枠以内に抑えていれば贈与税はかかりません。
ただし、贈与を受ける人が拒否をしているなど贈与として認められない場合や、ジュニアNISAの他にも贈与して110万円を超える場合は、贈与税がかかるので注意が必要です。
年間110万円を超える贈与には注意
ジュニアNISAの他に複数の人から贈与を受けて、合計して年間110万円を超える場合は贈与税がかかります。
(例)父親がジュニアNISA口の満額80万円を自分の子供に贈与、祖父からも孫へ80万円の贈与された
父:80万円の贈与 + 祖父:80万円の贈与 = 合計160万円の贈与
160万円の贈与 − 年間基礎控除額110万円 = 50万円
上記の計算通り、110万円を超えた50万円に対して贈与税が発生します。
なお、自分が把握していないところで祖父等から贈与があり、年間基礎控除額110万円を超えた場合も贈与税がかかるので気をつけてください。
ジュニアNISAの生前贈与活用例
贈与税の基礎控除額は一人当たり110万円のため、子供が多いほどこの控除額を合算して、相続税と差し引くことで税負担を減らすことができます。
(例)子供2人、孫2人の場合
子供:220万円 + 孫220万円 = 440万円(合計基礎控除額)
合計基礎控除額440万円を5年間続けると、トータルで2,200万円を相続税の税負担を減らすために活用することが可能です。
(例)相続財産6,000万円で法定相続人が2人いた場合
上記5年間で2,200万円を子供2人に贈与
相続財産6,000万円 − 2,200万円 = 3,800万円(残りの相続財産)
2015年からは相続財産を合計して4,800万円を超えると相続税が発生します。つまり、残った3,800万円に相続税はかかりません。
(例)生前贈与を行っていない場合
相続財産6,000万円 − 4,800万円 = 1,200万円
1,200万円が課税対象となり、納税額60万円がかります。
ジュニアNISAがおすすめできる人
ジュニアNISAの特徴やメリット、デメリットついてみていきましたが、まとめると以下のことに当てはまる人はおすすめです。
- 子供の将来かかる教育費に備えて資産形成したい人
- 生活防衛資金がある人
- 相続税対策に備えておきたい人
- 子供教育で投資の勉強をさせたい人
子供の将来にかかる教育費のためにジュニアNISAを利用する場合、早めに始めた方が非課税の恩恵が大きくなるため有利です。さらに長期投資によるリスク軽減もあるため、子供が3歳以下のときに加入した方がお得です。
また、ジュニアNISAに加入する前に、生活防衛資金を用意しておくことをおすすめします。生活防衛資金を用意せずにジュニアNISAを始めてしまうと、万が一怪我や病気になった際に、必要なお金を用意できない事態になる恐れがあります。一般的に生活防衛資金は、生活費半年分~1年分とされているため、必ず最初に用意しておきましょう。
ジュニアNISAの具体的な活用方法
- 子供の大学進学のための資金として
- 祖父・祖父からの贈り物として
実際のところ、ジュニアNISAはどのように活用するといいのでしょうか。具体的な活用方法をご紹介します。
子供の大学進学のための資金として
子供の大学進学のための資金として、ジュニアNISAで資産形成するのはおすすめです。ジュニアNISAは、18歳以降になればいつでも払出し可能で(2024年以降は払出し制限緩和)、大学進学にかかる入学金や学費などに当てられます。
【大学進学でかかる費用】
上記は自宅(実家)から通う計算のため、アパートなどの賃貸物件に住む場合では、家賃や光熱費などその他多くの費用がかかります。ジュニアNISAで効果的に資金増や大学進学の費用に備えておけば、経済的負担はかなり抑えられるといえるでしょう。
祖父・祖父からの贈り物として
ジュニアNISAは両親が、子供が育っていく過程でかかる教育費のための資産運用として、利用するだけではありません。祖父・祖母が孫の将来をサポートする贈り物として、ジュニアNISAを利用する方法もあります。
ジュニアNISA口座開設のおすすめ証券会社ランキング
- 1位 SBI証券
- 2位 楽天証券
- 3位 マネックス証券
それでは、ジュニアNISAの口座開設におすすめの証券会社1位~3位までの、メリットとデメリットをみていきます。ジュニアNISAは一度口座開設すると途中変更できないので、証券会社は慎重に選びましょう。
1位 SBI証券
SBI証券はジュニアNISAの国内株式と投資信託の取引手数料は原則無料です。
メリット | デメリット |
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SBI証券は一般NISA・ジュニアNISAの国内株(売・買)取引手数料が無料なため気軽に投資できるメリットがあります。
またSBI証券はジュニアNISAは対象外ですが、取引ごとにTポイントが貯まる制度が導入されています。Tポイント対象の金融商品は「国内株式」「投資信託」「CFD」の3種類で、受け取ったTポイントは投資に利用できるほか、商品の交換も可能です。
また、SBI証券の魅力として外国株式とETFが購入できる点です。他証券会社のジュニアNISAでは外国株式やETFは取り扱っていない場合が多く、米国株などの購入を希望するならSBI証券がおすすめです。ただし、外国株式取引では通常時の取引手数料がかかります。
SBI証券のデメリットとしてメンテナンスが多いことです。SBI証券ではメンテナンスを土日の夜間に30分程度行っていて、メンテナンス中はログインできません。さらに、SBI証券ではIDとパスワードは自分で管理するため、忘れると当日以内に利用できない場合があります。そのため、IDとパスワードはしっかり管理していないと、あとで手続きに手間がかかる恐れがあります。
2位 楽天証券
楽天証券には次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
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楽天証券もジュニアNISAは手数料無料で利用可能です。
さらに楽天証券では、取引手数料の一部がポイントバックされる制度が導入されています。
ジュニアNISAのコースではないですが、超割コースでは1回の取引ごとの手数料に対し1%のポイントがバックされます。
楽天証券は手数料が安いうえに、1回ごとの取引でかかる手数料がポイントバックされ、さらに貯まったポイントで投資に利用できるほか、楽天グループでショッピングにも利用でき利便性に優れています。
また、楽天カードと連携してカード決済にすれば、楽天ポイントが貯まるメリットがあります。(ジュニアNISAは対象外)貯まった楽天ポイントは投資に充てられるほか、ショッピングにも利用できる使い勝手の良い証券会社です。
ただし楽天証券のデメリットはIPO投資商品が少ないことです。IPO投資とは新規公開株の取引のことで、企業が上場後に大きく成長して株価上昇に期待できる銘柄が多いため、利益率の大きい投資となっています。当然、リターンが高い分リスクも大きいですが非常に人気が高く、チャンスを逃したくない人にとっては、取引扱いの少ない楽天証券はデメリットに感じるでしょう。
3位 マネックス証券
マネックス証券の魅力として、豊富な金融商品を取り揃えていることです。特に米国株では4,000銘柄以上を取り扱っており、中小銘柄を含めた様々な米国株を売買できます。
メリット | デメリット |
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マネックス証券もジュニアNISAの手数料が無料です。
またマネックス証券では、IPO抽選を、完全平等な条件のもと参加できるメリットがあります。IPO投資では多くの投資家が殺到するため、抽選倍率が高くなり当選するのが厳しい傾向にあります。さらに申込株式数が多くて、資金力のある投資家が選ばれる抽選もあるため、差別化が起きやすいです。しかしマネックス証券では、一人当たり一単位のみの抽選を採用しているので、完全平等な条件のもと抽選できる利点があります。
マネックス証券は金融取引の際に役立つ、豊富な取引ツールが用意されています。 株式取引では「銘柄スカウター」を利用することで、過去の業績や配当実績、アナリストの見解など取引に役立つ情報を無料で見ることが可能です。また、各銘柄のチャートをリアルタイムで確認でき、取引画面は好みに合わせてレイアウト変更できる楽しみもあります。
ただし、マネックス証券のデメリットは国内株式の取引手数料がやや高めなことです。
- 国内株式取引金額が5万円 → 取引手数料は110円(税込)
- 国内株式取引金額が10万円 → 取引手数料は198円(税込)
SBI証券や楽天証券の2倍の手数料がかかるので、取引回数や取引金額が多い人は注意しましょう。
マネックス証券は、外国株式の米国株の銘柄においては豊富に取り揃えていますが、ロシア、ベトナム、韓国インドネシア、シンガポールといった、他国の株式は取り扱っていません。様々な国の株を保有して分散投資をしたい人には不向きといえます。
ジュニアNISAの始め方について
- ジュニアNISAが利用できる金融機関
- ジュニアNISAの手続きの手順
- 必要になる書類
では、ジュニアNISAはどのように始めたらよいのでしょうか。どこの金融機関でどのように手続きすればよいのか、手続きの流れや必要書類などについて解説します。
ジュニアNISAが利用できる金融機関
ジュニアNISAは証券会社の他に、以下のような金融機関でも取り扱っています。
- 銀行・信託銀行
- 投信会社
- 郵便局
- 農協
- 信用金庫
- 信用組合
- 労働金庫
- 生命保険会社
NISAを実際に利用できるかは各金融機関によって異なるため、ホームページなどで事前に確認するようにしましょう。
ジュニアNISAの手続きの手順
ジュニアNISAの手続きには、以下のステップを踏む必要があります。
- 証券会社の口座開設ボタンをクリックして申込みをする
- 口座開設に必要な書類を受取り、必要書類を返信する
- 証券口座の開設とジュニアNISA口座開設の審査を待つ
- 開設完了の連絡を受ける
ジュニアNISA口座開設の申込みをして完了するまでに、1ヶ月ほどかかります。
必要になる書類
ジュニアNISAの口座開設の手続きの際は、以下の必要書類の提出が必要になります。
- ジュニアNISA口座開設届出書
- 未成年者の本人確認書(健康保険書、運転免許証、住民票の写し、在留カード、個人番号カード等)
- マイナンバー通知届出書
- 登録親権者の本人確認書類(健康保険書、運転免許証、住民票の写し、在留カード、個人番号カード等)
- 登録親権者との続柄が確認できる書類(住民票の写し、戸籍謄本のコピー)
登録親権者との続柄が確認できる書類とは、登録親権者と子供が同居の場合は住民票のコピーが必要で、別居の場合では戸籍謄本のコピーが必要となります。
ジュニアNISAのおすすめの銘柄は?
ジュニアNISAのおすすめな銘柄は以下の3つがあげられます。
- SBI・バンガード・S&P500
- eMAXIS Slim 米国株式
- eMAXIS Slim 全世界株式
SBI・バンガード・S&P500とeMAXIS Slim 米国株式は、アメリカの株価指数と連動するインデックス型投資信託のことです。アメリカは今後人口増加が予想されており、経済成長が見込まれるため購入しておくといいかもしれませんね。eMAXIS Slim 全世界株式は全世界の株式に取引できる商品のため、分散投資としてリスクヘッジに期待できます。
2024年からの新NISA制度とは?
新NISA制度とは「つみたてNISA」と「一般NISA」の制度が、一部変更になったことを指します。
つみたてNISAでは投資可能期間が現行の2037年から2042年の5年間延長となりました。また、2023年までにつみたてNISAの口座を開設して運用を始めれば、20年間の非課税期間で積立投資ができます。一般NISAでは口座開設可能期間が、5年間延長され2028年まで受付可能です。さらに、一般NISAは改正されて非課税枠が2階建て構造となりました。
【従来】
非課税枠年120万円
【改正】
非課税枠102万円 + 非課税枠(つみたてNISA)20万円 = 年間122万円
改正後のNISAでは原則として、1階部分を利用しないと2階部分は利用できません。ただし、20万円全てを使い切る必要はなく、一部でも使っていれば2階部分は利用可能です。
廃止に伴い利便性に優れたジュニアNISA
原則ジュニアNISAは18歳を過ぎるまでは、口座から引き出しできないルールのため利便性に劣る制度でした。しかし、2023年に廃止されることになったことで、2024年以降からはいつでも引き出し可能となり、利便性に優れた制度になったといえます。そのため、子供の教育費のために資産形成するなら、今まさにジュニアNISAが最もお得に利用できるため、検討を考えているなら早めに加入することをおすすめします。
ジュニアNISAに関するQ&A
ジュニアNISAに関するよくある質問をまとめましたので参考にしてください。
Q.ジュニアNISAとは、どのような制度ですか?
ジュニアNISAは2016年1月から開始された、未成年者少額投資非課税制度のことをいいます。ジュニアNISAでは年間80万円の非課税枠が設けられていて、最長5年間合計400万円の非課税枠を受けられます。なお、ジュニアNISAが終了した後は継続管理勘定に移すことで18歳になるまで、非課税で運用が可能になります。
なお、継続移管勘定に移すことができる金額に上限はなく、時価が80万円を超過していても、全額を継続管理勘定にすることが可能です。また、ジュニアNISAは2023年の廃止に伴い、2024年以降はいつでも払い出すことが可能となりました。
Q.ジュニアNISA口座を開設できるのはどんな人ですか?
ジュニアNISAで口座開設できる対象者は、口座開設する年の1月1日において19歳以下の未成年者に限られます。
Q.ジュニアNISAで未成年者に代わって運用管理を行う「親権者等」の範囲にルールはある?
ジュニアNISAでは未成年者自らが運用することはできないので、親権者が代わりに運用する必要があります。親権者とは両親や祖父、祖母の二親等以内の親族をいい、それ以外の人が代わりに運用することはできません。
Q.ジュニアNISA口座はNISA口座のように金融機関変更はできますか?
ジュニアNISA口座では一度口座開設すると、NISA口座のように金融機関を変更することはできません。金融機関の変更をする場合は、ジュニアNISA口座を閉鎖して、新たにジュニアNISA口座を開設する必要があります。また、ジュニアNISA口座を閉鎖して資産を引き出す際、それまでの利益すべてに対して20.315%の税金が発生します。
Q.ジュニアNISA利用途中で20歳になったら口座はどうなりますか?
ジュニアNISA利用途中で20歳になる場合は、子供が20歳になった時点で自動的に成人用のNISA口座が開設されます。なお、このとき「一般NISA」か「つみたてNISA」のどちらかを選択することが可能です。
Q.口座開設はもう遅いですか?
ジュニアNISAは2023年末まで受付しているので、口座開設するならまだ間に合います。本来であれば18歳までは、払出しすることができない縛りがありましたが、2024年以降からはいつでも払出し可能です。つまり、ジュニアNISAの払い出し制限が長いというデメリットがなくなり、メリットの方が大きくなったため利用しない手はないでしょう。
からの記事と詳細 ( ジュニアNISAが廃止直前!駆け込み加入のメリットや始め方、おすすめ銘柄 | Money Method - 神戸新聞 )
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