総務アウトソーシングとは、多岐にわたる総務業務の一部を、外部に委託することです。委託業務の範囲はさまざまで、提携する委託先によっても異なります。
総務の業務は、企業の規模や業種により範囲は異なるものの、基本的には組織全体に関わっています。一般的には以下のような業務を担っていることが多いでしょう。
これらには「社員の柔軟な対応が必要な、企業売上に直結する業務(コア業務)」と「マニュアル化できる定型的な業務(ノンコア業務)」が混在していますが、どちらもアウトソーシングすることが可能です。
総務業務のアウトソーシングが検討される背景には、慢性的な人材不足や、2019年4月より順次施行されている、働き方改革関連法における業務効率化促進の影響が大きくあります。
アデコ株式会社の「アウトソーシングの導入状況に関するインターネット調査」によると、約50%の企業が総務などバックオフィス業務のアウトソーシングを「利用している」「利用予定である」「利用に向けて情報収集中である」と回答しています。業務を効率化させ、貴重な社内リソースをコア業務に注力させるためにも、総務の定型業務をアウトソーシングする企業が多いことがわかります。
加えて、総務は業務範囲の広さから業務が煩雑になりがちであり、担当が分散したり属人化してしまうことが多い部門でもあります。そのため、全ての業務を自社で回そうとするのではなく、定型化できる業務は委託し、効率化を目指す傾向にあると考えられます。
総務のアウトソーシングで期待できること
すでに多くの企業が導入・利用検討している総務アウトソーシングですが、導入により具体的にはどのようなことが期待できるのでしょうか。
1.コア業務に注力できる
総務業務には「日常業務」「管理業務」「戦略業務」がありますが、そのうち前者2つをアウトソーシングすることで、社内リソースを働き方改革やBCPといった「戦略業務」へ集中させることができます。
また、来客対応や受電対応、郵便物対応といった業務をアウトソーシングすることで、担当者が必ず出勤する必要もなくなり、結果的にテレワークなど新しいはたらき方も導入しやすくなることが期待できます。
2.コスト削減に繋がる
繁閑差に応じて必要なときだけアウトソーシングを活用することで、人件費や労務管理費を変動費化し、コスト削減に繋げることが出来ます。
例えば、毎月の給与処理業務は、月末や年度末に業務が集中します。そのため、月末や年度末のみ委託量を増やし、閑散期には自社社員のみで業務を行うなど柔軟に調節することで、不必要な固定費の削減に繋がります。
さらに、アウトソーシングの種類や委託先によっては、業務管理だけでなく人材管理まで委託できるメリットもあります。自社であれば担当者の退職・異動時は採用や引き継ぎのコストや工数が発生し、通常業務にも影響が出てしまうことがあります。これら人材管理もアウトソーシングすることで、採用や教育にかかる工数が削減できます。社会保険や税関係の法改正などによる業務の見直しや対応に迫られた際も、委託先の担当窓口が一本化されていることにより総務部と人事部のコミュニケーションコストが削減されるでしょう。
3.業務の効率化・品質向上が見込める
専門性の高い外部リソースを活用することで、業務品質が底上げされやすいことに加え、アウトソース時に自社業務が整理されるため、業務改善にもつながります。
例えば、労務管理は特定の社員が担当していたという場合、担当社員が不在の際に労務関連の手続きがストップしていたかもしれません。しかし、アウトソースをきっかけに業務がマニュアル化・可視化されれば、脱属人化が実現されるだけでなく、他社を知る委託先スタッフのアドバイスや最新ツールの活用によって、自社業務がより効率的になることも期待できます。
総務のアウトソーシング活用でおさえるべきポイント
コア業務への注力やコスト削減、業務の効率化・クオリティ向上など大きな期待が見込める総務アウトソーシングですが、いざ導入・運用し始めても、思うような成果が得られなかったり、結果的にコスト削減に繋がらなかったりすることがあります。アウトソーシングを活用するときにはどのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。
導入時のポイント
まず、アウトソーシングを導入する前に自社がアウトソースを行う目的と依頼範囲を整理しましょう。
例えば
・固定費を削減したい
・社内リソースをコア業務に振り分けたい
・専門性の高い外部の知見を取り入れることで業務を効率化したい
など、目的は会社によってさまざまです。
さらに、総務部門は組織全般に関わっているため、他部署との連携を見直す必要も多くあります。そのため、それぞれの目的に応じて委託先にどのような効果を期待し、どこまで委託するのかといった概要を予め作っておくことが必要です。
以下にあげた確認すべきポイントをチェックをして導入への準備を進めてみましょう。
▼確認すべきポイント
・自社の課題を洗い出す
・アウトソーシング導入の目的を明確にする
・委託する業務と自社で行う業務に分ける
・委託の際のコストは適切か
・委託先のセキュリティは体制が整っているか など
自社の業務を細かく洗い出し、委託業務の目的と範囲を見極めることは、自社に合うサービスを提供する委託先を見極める視点にもつながります。
もし、目的や範囲を明確にせず、アウトソースしてしまうと、コストが増えるだけでなく、情報漏洩リスクも生まれます。多くのアウトソーシング先では一定水準以上の情報セキュリティ体制を備えていますが、企業の重要事項に関する業務は社内で管理するようにあらかじめ切り分けておくことで、リスクを防ぐことが出来ます。
運用時のポイント
運用時は、委託先とコミュニケーションを密に取り、情報共有を行うように心がけましょう。
例えば、事務業務や労務管理などは、数値として成果が見えにくい傾向にあります。そのためフィードバックをもとに改善を続けていくことで、業務効率化やコスト削減も達成しやすくなるでしょう。
さらに、情報共有を行うことで、自社にノウハウを蓄積する効果も期待できます。委託先に任せきりになると社内にノウハウが残らず、サービスを切り替えたり将来的な内製化を行うことが難しくなる可能性があります。委託先とは定期的にフィードバックを行い、成果・課題の見直しや改善を図りましょう。
総務アウトソーシングの活用事例
最後に、総務アウトソーシングを取り入れ、業務効率化を実現した事例を紹介します。
ノンコア業務を集約し、事業拡大に伴う社員の業務負荷を軽減
従業員規模100〜500人の原料メーカーA社では、事業の拡大に伴い、総務部門の業務量が増加傾向にあり、従業員をコア業務に集中させたいが、日々の定型業務に追われているという状況に陥っていました。
また、グループ会社4社とともに本社移転が決定したため、グループ各社の業務を整理し最適化する必要がありました。
そこでパーソルテンプスタッフでは、新オフィスにアウトソーシングを活用した「総務ルーム」を設置することによって、ワンストップで総務業務が遂行できる仕組みを提案しました。来客や取引先の対応、代表電話、庶務業務などあらゆる総務の業務をトータルでアウトソーシングすることによって、従業員が日常的に発生する定型業務に追われることなく、コア業務に専念できる環境を構築しました。
同時に、グループ会社の業務の可視化を実施。各社で類似した業務、重複した業務を洗い出し、本社総務に一元化するため、業務ルールやフロー、外部ベンダーとの連絡方法の変更を提案しました。また、グループ会社の業務引き継ぎに伴い、マニュアルを作成。来客対応や社員からの問合せ対応の業務品質を安定させるために、アウトソーシングスタッフの業務を固定化するといった仕組みを導入しました。
結果、本社およびグループ4社の総務業務を集約・効率化を実現しました。
総務カウンター設置で「探す・迷う」を解消、月間の検索時間約57時間を削減
従業員300名の、とあるサービス業様では貸出業務、在庫管理業務、メール代行、問い合わせ対応といった業務を担当制にしていました。
しかし、従業員が総務部に依頼をする際、「誰が担当者なのか」「どこに問い合わせればいいのか」と迷い、時間的ロスが発生する事態が頻発していました。さらに、担当が割り振られていない総務業務においては気づいた社員が対応するという状況や、業務の重複などもあり、非効率な状況になっていました。
そこで「総務カウンター」を設置し、常駐者がいる状況を作ることで社員の検索時間を短縮し、結果的に月約57時間の削減に成功しました。
さらに、総務業務を整理し可視化。業務ルール・プロセスを策定したり、共通業務を集約し、委託先に適切に振り分けたりすることで、事務担当者の業務時間を月約35時間削減し、総務社員がコア業務に専念できる環境作りを推進することが出来ました。
総務部門におけるアウトソーシング活用事例を詳しく掲載!
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