投資をするのなら、1社の証券口座だけで取引するのではなく、複数の証券会社で口座を開くのがおすすめです。複数の証券口座を持っていれば取引コストが下がり、リスク分散を図ることができるメリットがあります。
今回の記事では、証券口座を複数持つことのメリット・デメリットや、組み合わせて使うのにおすすめの証券会社を紹介します。ぜひ証券口座を増やす際の参考にしてください。
証券口座は複数持つべき?それとも1つでOK?
証券口座を複数持つメリットの大きさは、投資の方向性によって大きく変化します。
たとえば、「投資信託しか購入しない」という方を例に考えてみましょう。まず、楽天証券の主要な取扱商品を確認してみます。
- 国内株式
- 外国株式、海外ETF
- 投資信託
- 国内債券
- 海外債券
- 楽ラップ
- 楽天FX
- 先物・オプション
※2022年1月28日現在
※引用:楽天証券公式サイト
このように、大手ネット証券では多くの金融商品をカバーしているため、1つの証券口座でたいていの金融商品の取引が可能になります。
したがって「投資信託しか購入しない」という投資意向を持つ方は、このような大手ネット証券の口座を1つ持っていればある程度、事足りるでしょう。
しかし、「米国株式の取引もしたい」、「国内株式は単元未満株で購入したい」、「多くのIPO株に応募したい」と思っている場合は、複数の証券口座を開設するとメリットは大きくなっていきます。
証券会社にはそれぞれに強みがあります。「米国株式の取引手数料が安い」「投資信託の購入手数料が無料」「IPO株の主幹事会社を務める機会が多い」など様々です。
投資家はその特徴に合わせて「米国株式はA社」、「投資信託はB社」と使い分けることで、取引コストが下がる、もしくは多くの銘柄から投資先を選べるなどのメリットが得られます。
証券口座を複数持つ条件とは?
1つの証券会社で複数の証券口座を持つことはできません。しかし、複数の証券会社を使えば、証券口座を複数開設することが可能です。
ただし、NISA(少額非課税投資制度)用の口座は全金融機関の中から1人1つしか持つことができません。年によって金融機関を変更することは可能ですが、1年の間に1回でもNISA口座を利用すると、その年は金融機関の変更ができなくなります。
したがって証券口座とともにNISA口座を開設する場合は、どの証券会社で開設するのかよく検討する必要があるでしょう。
証券口座を複数開設する基本的な方法
まずは、証券口座を複数持つまでの基本的な流れについて確認しておきましょう。
複数の証券会社で口座開設を申し込む
1つの証券会社で複数の証券口座を開くことはできません。ただし証券会社が異なるのであれば、証券口座を持つ数に制限はありません。
1社につき1口座であれば、制限なく口座を開くことができるのです。自分が取引を検討している金融商品の取り扱いがあるか、その取引手数料は安いかを考え、証券会社を選びましょう。
また証券口座の開設に必要となる書類は、どの証券会社でも大きな違いはありません。免許証などの本人確認書類と、銀行の口座番号を登録して口座を開設します。
マイナンバーも証券会社ごとに提出が必要となります。マイナンバーカード(個人番号カード)もしくは通知カードを準備しておくと、手続きがスムーズになります。
NISA口座は1人1口座まで
証券会社を掛け持ちすれば証券口座を複数開設できますが、NISA口座は1人1口座に限られています。
NISAとは2014年に始まった制度で、金融商品の取引で得た利益にかかる税金が非課税となるものです。
本来かかる税金20.315%(所得税15.315%、住民税5%)がかからず、初心者の方にも高い人気を誇りますが、NISA口座は全金融機関の中で1つの金融機関でしか開設ができません。1年ごとに金融機関を変更することは可能ですが、その年中に1度でもNISA口座を利用していると翌年まで金融機関の変更ができなくなります。
なお、金融機関を変えたとしても、変更前のNISA口座に入った金融商品を、変更後のNISA口座に移すことはできません。
手続きの煩雑さを考えると、開設時に選んだ証券会社のままにしたくなるかもしれません。その意味でも、NISA口座の開設時には、証券会社選びは、しっかり検討して行いましょう。
証券口座を複数持つ場合の主なメリット
複数の証券口座を持つと、どのようなメリットがあるのでしょうか。6つのメリットを挙げ、解説していきます。
利用可能なサービスが増える
証券口座を複数開けば、複数の証券会社が提供する幅広いサービスが利用できるようになります。
証券会社では金融商品の取引だけでなく、情報ツールやセミナー、など多くのユーザー特典をそろえています。複数の証券口座を利用すれば、より多くのサービスを活用できるのです。
特に、情報ツールは着目したいポイントです。投資するにあたって、正しい情報を入手できるかは投資判断に大きな影響を与えます。より多くの情報を得ると、売買のチャンスをつかむことができるほか、損失の危機も早めに回避できます。
たとえば、楽天証券には日本経済新聞の記事が無料で読める特典があります。楽天証券ユーザーは「日経テレコン(楽天証券版)」が無料で利用でき、その中で日本経済新聞(朝刊・夕刊)や日経MJなどの記事を3日分、閲覧できます。日経新聞の購読料は通常、月額4,900円(税込)です。これだけでもかなりのメリットといえるでしょう。
複数の証券口座を開設すると、さらに他の証券会社の情報ツールも利用でき、利益のある情報をより収集できるのです。
取引手数料が割安になる
複数の証券口座を開設するメリットとして、取引手数料が割安になることが挙げられます。
たとえばSBI証券と楽天証券では、国内株式(現物)の取引について約定金額が1日100万円までであれば手数料が無料です。
仮にSBI証券、楽天証券の口座を持ち、1日100万円以上の取引をする際は、2つの証券会社を利用して資金を割り振るといいでしょう。その場合、合計した取引額が100万円以上であったとしても、手数料を無料にすることができます。
また、手数料の仕組みは証券会社によって異なります。少しでも得ができるよう証券会社を比較しながら利用しましょう。
たとえば、楽天証券では中国株式の取引手数料を以下のように定めています。
一方、SBI証券は中国株式の取引手数料が約定代金の0.286%(税込)で、下限は51.7香港ドル(税込、約766円)となっています。これを比較すると手数料は、楽天証券の方が安くなることも、SBI証券の方が安くなることもあります。
このように複数の証券口座を持つと、金融商品の取引に合わせて、コストの小さい証券会社を選択できるメリットが出てきます。
IPOの当選率が上がる
IPO株の当選確率が上がることも、複数の口座を持つメリットです。
IPOとは、未上場の株式会社が証券取引所に上場し、一般の投資家に株式を公開することを指します。IPO株は、公開される前の時期に証券会社を経由して購入し、証券取引所で初めて値をつけた「初値」で売却するだけで大きな利益を得られる可能性があります。
IPO株は、初心者からベテラン投資家まで広く人気のある金融商品です。しかし、IPO銘柄は誰でも購入できるわけではありません。IPO株購入の権利は抽選で決まりますが、当選確率は高くはなく、いつまでたっても当たらない人も珍しくありません。
ただし株式上場する企業はIPO銘柄の株式を各証券会社に割り当てていきます。そのため、複数の証券会社を通して応募すると、当選確率をアップさせられます。IPO株に投資するのであれば、複数の証券口座を開設した方が有利となるでしょう。
証券会社のメリットを活用できる
それぞれの証券会社が持つ強みは多種多様です。証券会社各社のメリットには、たとえば以下のようなものがあります。
- 投資信託の購入手数料が0円
- アナリストのレポートが無料で読める
- 街の買い物で貯まったポイントを投資に利用できる
- 金融商品の残高に応じてポイントが付与される
- 信用取引や先物など上級者向けの取引も充実している
- リモートで画面共有しながら操作を教えてもらえる
このように多くのメリットがありますが、証券口座を1つしか保有していない場合は、その1社が持つメリットしか受けられません。
複数の証券口座を開設すると各証券会社のメリットを同時に活用でき、より実りある取引が可能となるでしょう。
リスクの分散ができる
証券口座を複数開設すると、資産が減るリスクを下げられるメリットがあります。
投資するのであれば、資産を分散させることは重要です。
証券会社ではまれにシステム障害が起こることがあります。復旧するまでの時間は短いとされていますが、その間に取引ができずダメージを負うことはあり得るでしょう。
また可能性が低いとはいえ、証券会社が破綻したときのリスクを考慮する必要があります。
仮に証券会社が破綻したとき、顧客の資産は証券会社の資産と別に管理され、顧客のもとに戻されるようになっています(これを「顧客資産分別の管理」といいます)。
しかし、金融商品のままで顧客の元に返ってくることもあれば、金融商品が市場で換金されて戻される場合もあります。市場で換金された場合、市況によっては損失が発生する可能性もあるのです。
もしも証券口座が1つだけであるなら、保有する金融資産が全て現金化されて戻される可能性もあります。それがきっかけで、大きな損失を抱える可能性もあるでしょう。
したがって複数の証券口座に金融資産を分散させれば、証券会社が破綻したときのリスクを減らせるのです。
自分に最適な証券会社を試して見つけられる
複数の証券口座を開設すると、証券会社の強みを比較しながら利用でき、自分に最も適している証券会社が分かるようになります。
たとえば「取引画面はA社が一番分かりやすい」、「ポイントが一番貯まりやすいのはB社」などと、自分の取引状況に応じて使いやすい証券会社が分かってくるのです。
また、金融商品の取引にかかる手数料は証券会社によって異なりますし、取引する額や頻度によっても異なります。
メインで利用する証券口座を選択するのは、ある程度多くの証券会社を利用してからでも遅くはありません。むしろ、複数の証券口座を利用してからメインで使う口座を選択した方が、より自分に合う証券会社を選ぶことが可能となります。
証券口座を複数持つ場合の主なデメリット
複数の証券口座を持つことで生まれるメリットを解説しましたが、管理面や確定申告などの面でデメリットも生じます。以下の項目で詳しく見ていきましょう。
管理が煩雑になりがち
複数の証券口座を持つと、金融資産全体の把握が難しくなります。
1社のみで取引する場合は、「金融商品Aで10万円利益が出て、金融商品Bで5万円損失が発生した。全体で5万円のプラス」などと、すぐに自分の運用状況を把握できます。
しかし複数の証券口座に資産を分散させると、全体でどの程度の損益が出ているのかを確認する必要が出てくるのです。運用資金の把握に手間をかけたくないという方は、複数の証券口座の運用状況を調べるのが面倒だと感じることもあるかもしれません。
投資資金が分散してしまう
特に小さい額で取引をする場合、複数の証券会社で取引すると投資資金が分散することもデメリットとなります。
たとえば、証券口座を3つ開設し、それぞれに10万円の投資資金を分散させていたと仮定します。購入したい金融商品が10万円で購入できないとすると、資金を分散させることが弱みとなります。他の証券会社から資金を移動させてくるなど、余計な手間がかかるかもしれません。
したがって、複数の証券口座に資産を分散させて投資するのであれば、資金の割り振りや、投資に必要となる資金について、あらかじめ計画を立てる必要があります。
確定申告が必要になるケースもある
複数の証券口座を開設する一番大きなデメリットは、確定申告の手間が発生し得ることです。ただし、全ての場合で確定申告が必要となるわけではありません。
証券会社で「源泉徴収あり」の特定口座を開設しておけば、全ての取引で利益が出たとしても、証券会社で源泉徴収して税金を納めてくれるため、確定申告は必要ありません。
ただし、利益と損失の両方が発生した場合は異なります。金融商品の取引で損失が発生した場合は、その年の利益と相殺することが可能です。これを損益通算と呼びます。
1つの特定口座内であれば自動で損益通算できますが、異なる特定口座間では損益通算ができません。異なる特定口座間で損失と利益が発生した場合は、確定申告をすることで源泉徴収された税金の還付を受けることが可能となります。
また損失だけが発生して、年内に損益通算する利益がない場合でも、確定申告をすることで損失を3年間繰り越すことが可能です。
ID・パスワードの管理が煩雑になる
証券口座を複数開設するとID・パスワードの管理に手間取ることでしょう。
日本証券業協会はパスワードの使い回しについて、以下のように注意を呼び掛けています。
- パスワードの使いまわしはお控えください
- ログインパスワードや取引パスワードなどに、同じパスワードを設定することはお控えください。
- オンライン証券やインターネットバンキングなど、金融機関の口座を複数お持ちの方は、それぞれの口座で同じパスワードを設定することはお控えください。
過去には、同じID・パスワードを使い回したことが災いし、不正出金される事件が実際に起きています。
複数の口座を持ち、IDやパスワードを盗まれるのが心配であるならば、管理ツールを導入する方法はあります。ただ、どうしても不安という場合は口座を1つにとどめましょう。
証券口座を複数持つ場合の確定申告と損益通算
証券口座を複数持っていると、確定申告が必要となる場合があります。
通常、源泉徴収ありの特定口座で取引し利益が出た際は、証券会社で税金を源泉徴収して納めてくれるため、投資家が確定申告をする必要はありません。
ただし同一年内の取引で損失が発生した場合は、確定申告が必要となる場合があります。たとえばA社で30万円の利益が出た場合、源泉徴収で以下の税金が差し引かれます。
30万円×20.315%(所得税15.315%+住民税5%)=6万945円
一方、B社では5万円の損失が発生したとします。もしも1つの特定口座の中で利益と損失が発生していれば、これらの取引は相殺(損益通算)され、利益は25万円とみなされます。
しかし、異なる特定口座間では損益通算ができません。そこで確定申告をして、損益通算をしてもらう必要が出てきます。
また、年内の取引で損失のみが発生して、相殺する利益がない場合も、確定申告で最長3年間損失を繰り越すことができます。
これらの確定申告は必ずしなければいけないものではありませんが、確定申告した方が税制上のメリットはあります。
目的別に証券口座を複数持つ場合のおすすめ組み合わせ
複数の証券口座を持つとすれば、メインの口座と予備で使う口座の組み合わせはどのように考えればいいのでしょうか。取引する株式の種類、投資額によって考え方は異なります。
口座を選ぶポイント
証券口座を複数持つときには、まずメインで利用する口座と予備で利用する口座を決めましょう。
メインで利用する証券口座は、手数料の安さや取引画面の使いやすさ、取扱銘柄の豊富さなどを基準に選ぶことをおすすめします。
一方、予備で利用する証券口座については、メインの証券口座の欠点をカバーできる利点があるかを確かめましょう。
メインの証券会社で取り扱っていない金融商品の取り扱いがあるか、メインの口座の手数料が高いときに、代わりに使えるかなどをチェックします。
またIPO株への投資を検討している方は、証券会社がIPO株を過去にどの程度扱ったのか、実績を確認しておく必要があります。
IPO株は、事前に応募して抽選に当たれば購入できる仕組みです。多くの実績を持つ証券会社を選ぶと、それだけ当選確率をアップさせられます。
証券会社によっては、預かり資産が多い顧客を優先して当選させるところもあります。より投資の選択肢を広げるためには、IPOの抽選方法を確認しておくことも大事なのです。
複数口座を持つ場合の注意点
複数証券口座を持つ場合はIDやパスワードを忘れてしまわないよう、気を付ける必要があります。
ネット証券ではセキュリティの関係で、同じパスワードを使い回すことは避けた方がいいとされています。口座によってID・パスワードを変えておきましょう。
パスワードの再発行には手間もかかります。どの証券会社にどのパスワードを設定したかは覚えておきましょう。パスワードの管理ツールを用いるのも有効です。
また、運用資金の管理も欠かせません。複数の証券口座で金融商品を運用すると、手元にどれくらいの投資資金が残っているのか把握が難しくなります。
自分自身の正しい余力を把握しなければ、投資するチャンスが訪れたときに利益を得るチャンスを逸してしまいます。それぞれの証券口座に運用資金がいくら残っているかを確認しておきましょう。
外国株投資がメインのケース
外国株式への投資がメインの方は、各証券会社が扱う株式の国の数、銘柄数の多さと手数料の安さを重視しましょう。
たとえばSBI証券では、米国や中国、韓国、ロシアなど9ヵ国の株式の取り扱いがあります。多くの証券会社は外国株として米国株式をメインに扱っていますが、ほかの国の銘柄があるかも確認しましょう。
また証券会社によって取扱銘柄の数も異なります。多くの銘柄があるほど取引の選択肢も広がっていきます。
外国株式に投資するのであれば、各証券会社の手数料も重視しましょう。投資先の国によっても取引手数料が異なることがあります。
少額投資のケース
まずは小さい資金で投資をするのであれば、最低投資金額に注目しましょう。たとえば、楽天証券の投信積立サービスでは、100円から投資が始められます。
特に投資初心者であれば、より少額で積み立てができる証券会社を選ぶことをおすすめします。
また、単元未満株を購入できるかも重要です。
日本株は「単元株制度」を採用しており、株式を購入する際に100株もしくは1,000株単位で取引しなければいけません。
1株当たりの株価が高ければ、数十万円の投資資金が必要となることも珍しくないのです。
しかし、証券会社によっては1株から購入可能で、銘柄によっては数百円からの投資も可能です。小さいお金で投資をスタートさせるなら、単元未満株の取引があるかも重視しましょう。
IPOを狙うケース
IPO株への投資を考えているのなら、証券会社の過去におけるIPO銘柄の取扱実績を確認しましょう。
IPOは、証券会社が抽選をして購入者を決めます。応募する投資家としては、なるべく取扱銘柄が多い証券会社から応募した方が当選する確率がアップします。各証券会社のサイトで過去の取扱実績を確認しましょう。
またIPO株では、主幹事会社を務める証券会社に多くの株式が割り当てられます。主幹事会社の証券会社からIPOに申し込み、当選確率をアップさせましょう。
さらにIPO銘柄に関しては、各証券会社が採用する抽選方式も重要です。証券会社によっては、預かり資産が多い顧客を優遇して当選させるところもあります。
小さい額で投資する方や、初心者の方は「完全平等抽選」を実施する証券会社を選ぶことがおすすめです。
手数料を安くしたいケース
取引にかかる費用を抑えるために、手数料無料で取引できる金融商品が多い証券会社を選ぶのも有効です。
たとえばSBI証券では、以下の金融商品の取引手数料を無料としています。
- 国内株式:1日100万円までの約定金額手数料無料
- IPO/PO:手数料無料
- 単元未満株:実質買付手数料無料
- 米国ETF:一部の銘柄の購入手数料無料
- NISA・ジュニアNISA:米国・中国・韓国ETFの買付手数料無料
- 投資信託:購入手数料無料
- FX:手数料無料
※2022年1月28日現在
※参考:SBI証券公式サイト
SBI証券のように、取引手数料が無料の金融商品が多い証券会社を選ぶと、取引コストを大きく削減できます。
また、複数の証券口座を持つと、取引手数料を比較しながら金融商品を購入できます。予備で持っている証券口座の手数料が無料であるならば、メインの取引よりも優先させて取引しましょう。
証券会社おすすめランキングベスト3
ここからは、複数証券口座を開設する際におすすめの証券会社をランキング形式で紹介していきます。
1位:SBI証券
証券会社おすすめランキングの1位はSBI証券です。SBI証券はグループ全体の証券口座数が700万を超え、多くの投資家から人気を集めています。
SBI証券のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
SBI証券のメリット
SBI証券は、IPOの取扱銘柄数が業界最多水準にあります。2021年3月通期のIPOの取り扱いは80社で、こちらも業界最多でした。同時期にIPOした企業の約93.0%をカバーしています。
SBI証券の証券口座を持てば、ほとんどのIPOに応募できるでしょう。
IPOは株式公開直後につける初値で売却すれば手軽に利益を得られます。「テクニカル分析など難しいことは分からない」という初心者の方にもおすすめの金融商品です。
多くのIPO銘柄に応募できるSBI証券は、投資家にとって大きなメリットがあります。
また、SBI証券は「IPOチャレンジポイント制度」も大きな魅力です。
IPOチャレンジポイントとは、IPOに落選したとしてもポイントが付与され、次にIPO株にポイントを利用し応募すると、当選確率が上昇する仕組みです。
SBI証券ではIPOに申し込む回数が多いほど当選確率が上がっていきます。初心者や小さい投資をしたいという方は、IPO株にこつこつと申し込めばIPO株の抽選に当選するチャンスが上がっていきます。
さらにSBI証券は、取り扱う外国株式の国数が大手ネット証券の中で最多の9ヵ国です。
米国だけでなく、中国、韓国、ロシア、ベトナムなど魅力的な外国株式に投資でき、より幅広い投資対象を求める投資家にとっては大きな魅力といえるでしょう。
SBI証券のデメリット
一方、SBI証券のデメリットについても確認しておきましょう。
SBI証券は、頻繁にメンテナンスが実施されます。ホームページにある通り、毎日定期メンテナンスで口座開設や国内株式などの手続きが制限されます。以下に定期メンテナンスの一例をまとめています。
- 積立投資信託の新規設定・変更・解除:毎日23:50~翌日0:50(うち30分程度)
- 米ドルの取引:①営業日10:00~10:30、②営業日14:30~15:00、③毎日19:00~19:30
- 国内株式メインサイト全板®サービス:日曜日19:00~20:00(うち10分程度)
- オンラインでの口座開設:火曜日~土曜日1:00~4:00
※2022年1月28日現在
※参考:SBI証券公式サイト
特に米ドルについては1日に3度、メンテナンスが実施されています。その間、取引が制限される点に注意が必要です。
またSBI証券では、国内株式と米国株式の取引アプリが別々に存在する点もデメリットといえます。
日本と米国、両方の株を取引するのであれば2つのアプリを使い分けなければいけません。投資家によっては、取引がスムーズでないと感じることもあるでしょう。
2位:楽天証券
証券会社おすすめランキング2位は楽天証券です。楽天証券は2021年12月に証券口座が700万口座を突破。投資信託の積立設定額も月当たり700億円を超えるなど、多くの投資家が利用していることが分かります。
楽天証券のメリット・デメリットを確かめます。
楽天証券のメリット
楽天証券は業界で初めて、ポイント投資で米国株が購入できる仕組みを導入しました。
2021年12月から楽天証券は、楽天ポイントを利用して米国株式(円貨決済)を購入できるようになりました。
街の買い物や旅行などで貯めた楽天ポイントを米国株投資へ利用でき、「米国株式に興味があるが、なかなかチャレンジできない」という方でも気軽に投資を始められるでしょう。
また楽天証券は米国株式だけでなく、国内株式や投資信託、バイナリーオプションへの投資でも1ポイント=1円に換えて利用できます。なお、NISA口座でもポイントは利用可能です。
ポイント投資は毎月の投資信託や、米国株への積み立てにも利用できます。最初にポイントを利用すると設定しておけば、あとは自動でポイントを充当してくれる便利さも魅力です。
1回500円以上をポイントで投資すると、その月は楽天市場でのポイント還元が1倍分増す点も魅力です。
普段から楽天市場を利用して楽天ポイントを投資に回し、さらに効率よくポイントが貯められる仕組みを有効活用しましょう。
また楽天証券では、楽天銀行と口座を連携させることで、普通預金金利が0.10%までアップします。メガバンクの普通預金金利が0.001%であることと比較すると、100倍の金利がつくことは大きな特典といえます。
楽天証券のデメリット
一方、楽天証券のデメリットについても確認しておきましょう。
楽天証券では、中国株式の取引手数料が比較的高く設定されています。
一方、「証券会社おすすめランキング」1位で紹介したSBI証券の中国株式の取引手数料は、以下の通りです。
- 最低手数料:51.7香港ドル
- 上限手数料:517香港ドル
※2022年1月28日現在
※引用:SBI証券公式サイト
このように10万円以上100万円未満の中国株式の取引であれば、SBI証券の方が取引手数料は安いことが分かります。
ただし手数料の上限は楽天証券の方が低いですから、取引金額によっては、楽天証券の方がコストを抑えられる可能性もあるでしょう。
また、楽天証券では米国株式の時間外取引ができません。米国株式市場には取引時間外のプレ・マーケットとアフター・マーケットがあり、どちらの時間帯でも米国株式を売買することが可能です。
しかし、楽天証券は時間外取引に対応していません。取引時間は23:00〜翌6:00(サマータイム:22:30〜翌5:00)となります。
3位:松井証券
証券会社おすすめランキング3位は松井証券です。松井証券は創業100年を超える老舗の証券会社で、確かな運営実績を誇ります。
以下で松井証券のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
松井証券のメリット
松井証券はネット証券でありながら、サポート体制が手厚いことが知られています。
松井証券には「株の取引相談窓口」を設置しており、投資家は電話で株式の銘柄選びや、売買のタイミングをアドバイザーに相談できます。
ネット証券では営業担当者がつかないことが大半です。知識や経験が浅い方は不安を感じることもあるかもしれません。
しかし松井証券であれば、プロのアドバイザーに相談しながら取引ができます。安心感を持って投資できるでしょう。
また、松井証券ではオペレーターと画面共有しながら、取引の操作を教えてもらえる「リモートサポート」も利用できます。
ネット証券に慣れておらず、オンラインで金融商品を取引することに自信がない方もいるでしょう。リモートサポートで実際の画面を見ながらサポートが受ければ、初心者の方でも安心して手続きできます。
さらに松井証券では、25歳以下であれば国内株式の取引手数料が無料である点も大きな魅力です。約定金額に関係なく手数料が無料となるため、取引コストを気にすることなく株式投資ができるでしょう。
一般NISAでの株式・投資信託の購入手数料と、つみたてNISAの購入手数料も無料です。これから資産形成に取り組むのなら、松井証券の利用をおすすめします。
松井証券のデメリット
デメリットも確認しておきましょう。
松井証券では外国株式・ETFは取り扱っていません。したがって米国株式やETFなど海外株式への投資を考えているのであれば、使い勝手が悪いと感じることもあるかもしれません。
また松井証券は、国内株式の取引手数料が比較的高いこともデメリットといえます。先に述べたように、25歳以下の方は国内株式の手数料が無料です。しかし25歳以上にとっては手数料がやや割高です。
約定代金 | 26歳以上の方の手数料 |
50万円まで | 0円 |
100万円まで | 1,100円 |
200万円まで | 2,200円 |
100万円増えるごとに1,100円(税込)加算 | |
1億円超 | 11万円(上限) |
※引用:松井証券公式サイト
SBI証券や楽天証券は、1日100万円までの取引は手数料が無料です。50万円以上の取引については松井証券の取引コストが割高となることが分かります。
おすすめ証券口座3社の比較表
紹介した3社の口座数や手数料、取扱銘柄などを整理します。
SBI証券 | 楽天証券 | 松井証券 | |
証券口座数 | 720万 ※SBIネオモバイル 証券、SBIネオトレード 証券含む |
700万 ※2021年12月 |
136万 ※2021年9月末 |
米国株取引手数料 | 約定代金の0.495% | 約定代金の0.495% | 取扱なし |
米国株取扱銘柄数 | 5,002銘柄 | 4,679銘柄 | 取扱なし |
投資信託取扱銘柄数 | 2,676銘柄 | 2,673銘柄 | 1,576銘柄 |
つみたてNISA対象銘柄数 | 176銘柄 | 179銘柄 | 172銘柄 |
IPO実績数(2021年) | 122 | 74 | 56 |
※データ引用:SBI証券、楽天証券、松井証券公式サイト
複数の証券口座を持つメリット最大限活用しよう
証券会社は1社で複数の金融商品を取りそろえ、充実した情報ツール、ユーザー特典を提供しています。
証券会社にはそれぞれ特色がありますが、証券会社1社を使うだけでは受けられるサービスは不十分です。証券口座を複数持てば、それぞれの証券会社の良さを活かすことができます。
「どの証券会社で口座を開設すればいいか分からない」という初心者の方にも、複数証券口座を持つことをおすすめします。
取引する前から、自分に最適な証券会社を選ぶことは容易ではありません。資産運用を始めてみて分かることもあるでしょう。
したがって、初めから証券会社を1社に絞る必要はありません。証券口座を複数利用しながら、自分に合った証券会社を選択していけばいいのです。
複数の証券口座を開設して、取引に役立てましょう。
証券口座の複数保有に関するQ&A
複数の証券口座を持つことには大きなメリットがありますが、ここで改めて、2つ以上の証券口座を持つときの注意点や証券会社の選び方など、投資家が抱くことの多い疑問に答えていきます。
1つの証券会社で複数の口座をつくれますか?
1つの証券会社で複数の証券口座を持つことはできません。しかし、異なる証券会社であれば1つずつ、複数の証券口座を開設することが可能です。使ってみたい証券会社がある場合はそれぞれ開設してみるといいでしょう。
実際に使ってみて「この証券会社はあまり使わないな」と感じたら、証券口座の閉鎖手続きをすればそれで済むのです。
ただし、NISA口座は1人1口座しか開設ができません。
口座を複数持つことのメリットはなんですか?
証券口座を複数持てば、それだけより多くのサービスを受けられるようになります。証券会社は投資に役立つ情報ツールの提供、セミナー開催、ユーザー特典の付与など様々なサービスを展開しています。
複数の証券口座を開設すると、ユーザーはより多くのサービスを受けられます。また、複数の情報ツールを利用し、多くの投資情報が収集できる点も魅力です。
複数の証券口座を使うと取引コストが抑えられることもメリットです。取引にかかる手数料は証券会社によって異なります。複数の証券口座を開設し、より手数料が安い証券会社を選びましょう。
口座を複数持つことのデメリットはなんですか?
証券口座を複数持つと、金融資産全体の把握に手間がかかることがデメリットです。
1つの証券会社で取引すれば運用状況が一目で分かりますが、複数の証券口座を持つ場合は、それぞれの運用状況を確認する作業やツールは欠かせません。
また、複数の証券口座を持つと、投資資金が分散してしまうこともデメリットといえます。特に運用資金が少ない方は、資金を分散させると金融商品を購入する資金が不足し、かえって運用効率が悪くなるかもしれません。
さらに、ID・パスワードの管理にも手間がかかります。同じパスワードを使い回さない方がセキュリティ上いいと考えると、複数のID・パスワードを管理する手間が発生するのはデメリットといえます。
NISA口座は複数の証券会社で開設できますか?
証券口座は複数開設できますが、NISA口座は1人1口座に限られています。
NISAとは2014年からスタートした制度で、金融商品の取引による利益にかかる税金が非課税となる制度です。
本来、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)課税される税金が、NISAの場合は非課税となります。
初心者にも人気の高い制度ですが、NISA口座は全金融機関の中で1つの証券会社を選び、口座を開かなければなりません。
1年ごとに金融機関を変更することは可能ですが、その年のうちに1度でもNISA口座を利用すると、翌年まで金融機関は変更できません。
複数の証券会社で証券口座を開設するのであれば、どの証券会社でNISA口座を開設するかをあらかじめよく検討しましょう。
一般NISAとつみたてNISAの口座をそれぞれ持つことはできますか?
NISAには一般NISAとつみたてNISAの2制度がありますが、どちらか1つの制度しか選ぶことができません。
ただし年度が変われば、NISA口座を切り替えることは可能です。金融庁はNISA口座の切り替えについて、次のように説明しています。
- 年単位で一般NISAとつみたてNISAを変更することも可能です。原則として、変更しようとする年の前年の10月から12月の間に、金融機関で変更の手続きを完了する必要があります。
この通り、次の年からNISA口座を切り替えるのであれば、前の年に手続きが必要となります。金融機関を変更することも可能ですが、その場合は変更前の金融機関から、非課税のまま新たに追加投資することはできません。
同時に複数の証券会社に申し込めますか?
同時に複数の証券会社の証券口座を開いても問題はありません。使ってみたい証券会社があれば、その分だけ口座を開設することが可能です。
証券口座を複数開設すると、証券会社から得られるメリットも大きくなります。
ただし、以下のようなデメリットもあります。
- 管理の手間が増える
- 確定申告が必要となることがある
- 投資資金が分散してしまう
また、証券会社ごとに異なるID・パスワードを設定する必要があります。忘れてしまわないように大切に管理しておきましょう。
証券口座を複数持つときの選び方が知りたいです。
証券口座を複数開設するときは、まず自分の投資の方向性をはっきりと確認しておくことが大切です。
たとえば「米国株取引を中心に据えたい」という方は、米国株式の取扱銘柄が多い証券会社や、米国株の取引手数料が安い証券会社を選ぶことがおすすめです。
米国株式は時間外に取引できるかも大事です。取引のチャンスに大きく関わってくるため、取引時間も比較する必要があります。
また、IPO株に投資したいという方は、IPOの取扱実績が豊富な証券会社や、主幹事会社を務める機会が多い証券会社がいいでしょう。
IPOは複数の証券会社から応募すると当選確率も上がるため、複数証券口座を持つメリットは大きいと考えられます。
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