日立製作所が東証1部上場の子会社である日立建機の保有株式を売却し関連会社とする検討をしていると報道された。日立は2009年時点で22社の上場子会社を持っていた。リーマンショックによる世界的な需要減少や円高の直撃を受け、09年3月期に製造業としては最大規模の7873億円の最終赤字を計上した。これを契機に事業の再編成を進め、企業文化として対応が難しい変化の激しい事業(ハードディスク・ドライブなど)やシナジーの薄い事業を切り離す一方、シナジーが期待できる上場子会社群を100%子会社として本体に取り入れていった。 【画像で確認する】企業が合併した際の企業価値の違い
企業が複合企業化する理由
20年1月には約52%の株式を持つ計測機器製造の上場子会社、日立ハイテクノロジーズの完全子会社化を発表する一方、4月に日立グループ「御三家」の一角であった日立化成を売却。今回は主要上場子会社で利益率は高いが、収益のブレ幅の大きい日立建機を売却する方針を決めた。更には、最後の「御三家」である日立金属の売却も視野に入れ、親子上場から完全に脱却しようとしている。 多種多様な事業を傘下に持つ事業形態は「コングロマリット(複合企業)」と呼ばれ1980年代の米国で全盛期を迎えた。その後、経営効率や企業統治の透明性などの問題から多くのコングロマリットが解体され、自社の強みを生かせる特定の事業に専業化していくのがグローバル・スタンダードとなっていった。長い間世界屈指のコングロマリットとして君臨してきたゼネラル・エレクトリックでも、2017年以降は事業の絞り込みが行われており、電力、航空機、ヘルスケア以外の事業については売却などが進んでいる。 日本でも、総合商社に限らず、もともと旧財閥グループを中心として複合企業体が多く、日立、IHIやソニーなどはメーカー型の複合企業の典型である。 日立のCMソング「日立の樹」が日立の事業形態を示唆している。そのCMソングの4番であるが、「この木なんの木気になる木、みんなが集まる木ですから、みんなが集まる実がなるでしょう。」日立はもともと日本最大の総合技術研究所と言ってよい存在であり、そこで開発された技術が事業化されていくことで複合企業体となっていった。開発された技術を多面的に事業展開していくことでシナジー(範囲の経済)が生まれていたのだ。 現在では一連の改革によって、企業文化にそぐわない変動の激しい事業からは撤退し、ITを中核にシナジーの期待できる事業に集中しつつあるものの、依然として多様な事業を抱える複合企業体であることには変わりない。 なぜ、企業は複合企業化するのか? その理論的な背景は、ポートフォリオ理論に基づく事業の分散による総リスクの軽減にある。各種の異なる事業を持っていれば、一つの事業が悪くなっても他の事業が下支えとなって全体の業績は安定するからだ。 しかし、投資家にとっては「1+1+1=3」(往々にして「1+1+13」となるような企業運営を行い、「コングロマリット・ディスカウント」ではなく「コングロマリット・プレミアム」を生じさせていく必要がある。
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