
5月25日、東京・永田町のホテル。国際リニアコライダー(ILC)をテーマに国際経済政策調査会(代表理事・吉岡正和高エネルギー加速器研究機構名誉教授)の講演会が開かれた。
新型コロナウイルス禍にもかかわらず、企業関係者ら約90人が参加。「予想を上回る申し込みがあり、広い会場に変更した。関心の高さを改めて感じた」と佐賀保理事は語る。
ナノメートル(10億分の1メートル)級の素粒子の固まりを延長20キロ以上の加速器の中間点で衝突させるILC。これを造る世界最先端の技術は医療や創薬、新たな工業用素材の開発など応用範囲が幅広く、県ILC推進協議会が試算した経済波及効果は建設から20年間で5兆7190億円。めざましいイノベーション(技術革新)が起これば、さらに拡大する可能性を秘める。
首相官邸で3月開かれた新しい資本主義実現会議。日本商工会議所の三村明夫会頭は岸田文雄首相を前にILCを話題に取り上げ「早期に省庁を超えた高次元の政治判断を図り、正式な国際交渉・協議に踏み出すべきだ」と訴えた。
これまで、政府は文部科学省を軸に国内誘致を巡る検討作業を進めてきた。有識者会議は慎重な見解だが、石川貴史素粒子・原子核研究推進室長は「次世代加速器の技術開発は着実に進めるべきだと考える」とも説明。学術的価値を見極める同省の役割は重要でも、大きな経済波及効果や子どもの教育水準向上、人種や民族を超えた国際研究所が立地する安全保障面にも及ぶ国益は、個別省庁の尺度では測れない。
その政治判断に向け対応が注目される超党派の国会議員連盟では2月、自民党の塩谷立・元文部科学相(衆院比例東海)が会長に就任した。夏の参院選後に新役員体制を決める予定で「まずは必要な予算獲得に動く。国として前向きに進めるような形へ持っていきたい」と決意を示す。
コロナ禍にあって、政府は大型補正予算を相次いで編成している。昨年12月に成立した補正規模は一般会計歳出ベースで過去最大の約36兆円に対し、ILCの建設費は7千億~8千億円で半分は他の関係国が負担する想定。直面する危機を乗り越えるのは最重要課題だが、国力が低下へ傾く中で「コロナ後」を見据えた成長戦略と大胆な投資も欠かせない。
「日本が技術開発の中核になる意義は大きい。科学技術ファーストでILCを応援していく」と超党派議連メンバーで、同党岸田派の小野寺五典元防衛相(衆院宮城6区)は強調する。
「科学技術立国」や「デジタル田園都市国家構想」を掲げる岸田政権。ILCはその実現に大きく貢献する有望な国際プロジェクトだ。千載一遇の好機をものにするのか、それとも尻込みを続けて逃すのか、世界が注視している。
からの記事と詳細 ( 多面的なメリット㊦ 科学技術立国の好機に、ILC東北誘致 - 岩手日報 )
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