
50代からの夫婦関係、見つめ直して幸せ老後に#8
人生の折り返し地点に、夫婦関係をあらゆる角度から見直すこと。今回の特集では、その大切さについて考えてきました。もし実際に離婚するとしたら?果たして法律上、長年連れ添った「妻」にはどんな権利があるのでしょうか。弁護士の山下環さんに伺いました。
離婚する・しないはともかく、知識を身につけよう
今回お話を伺ったのは、山下環法律事務所所長の山下環(やました・たまき)先生。ハルメクWEBでもおなじみの、夫婦問題のベテランカウンセラー、岡野あつこさんとの共著もある、離婚問題に詳しい弁護士です。 今回の特集に向けて、150人の同世代モニター・ハルトモの声を集めたアンケート※の中で「熟年離婚について、専門家に聞いてみたいことはありますか?」と問いかけたところ、いくつか質問が集まりました。特に、熟年離婚をした場合の「年金として受け取れる額」や「財産分与」、「慰謝料」など、お金のことは気になるようです。 「離婚後、受け取る年金はどう変わるのか? 気になります! 」(デコポン 婚姻歴25年以上 60歳) 「財産分与のことや慰謝料のこと、年金分割のことが知りたいです」 (M.T. 婚姻歴25年以上 63歳) まず熟年離婚とはどういうものか、法的に、妻にはどんな権利があり、どんな立場なのか、熟年離婚のメリット・デメリットとともに、これらの質問への回答も解説していただきましょう。 ※2021年6月、ハルメクのモニター組織「ハルトモ」の女性150人(50~54歳=14人、55~59歳=32人、60~64歳87人、65~69歳17人)を対象に実施した「『夫婦関係に関するインターネットアンケート」
熟年離婚のメリット・デメリットとは?
先のハルトモアンケートによれば、現在「既婚者」・「離婚経験あり再婚した」と回答した129人ののうち、離婚を一度も考えたことがない、という人は2割。逆に言えば、8割にあたる102人が「一度は考えたことがある」と回答。 「いつも考えている(ほぼ毎日)」と回答した人は4人で3.1%、「よく考える(月に数回)」は7人で5.4%と、熟年離婚をリアルに望んでいる人は、数としては少数派です。 リアルに離婚を考える人は少数派。それはなぜなのでしょう。「過去、1度でも離婚を考えたことがある」人を含め、「離婚しない・できない理由」をたずねたところ、最も多い回答は「経済的自立が不安だから」(46.1%)でした。 「熟年で離婚する場合と、若いうちに離婚する場合の違いが、特にこの経済的な問題でしょう」と山下さんは言います。 山下さんによれば、熟年と若年、離婚のメリットとデメリットを挙げると、次のようになります。 ■若いうちの離婚(女性の場合) 【メリット】 ・再婚してやりなおす時間があり、その可能性も高い ・結婚のため離職していた人でも、若いうちは再就職がしやすい ・親がまだ元気であれば、帰る実家や経済的に頼れる家族がいる 【デメリット】 ・資産を分与してもらおうとしても、経済力がないうちは分けてもらえるお金も少ない ■熟年になってからの離婚(女性の場合) 【メリット】 ・培った資産があれば、分与される資産(お金)は若い頃より増えていることが多い 【デメリット】 ・再婚してやりなおす時間が短く、可能性も低い ・ずっと積んできたキャリアやや有効な資格がない場合、再就職が難しい ・帰る実家がない・経済的に頼れる親族がいないと困窮しがちである 「若年と熟年で、メリットとデメリットが逆転しているのがわかります。アンケートのご質問にあった、財産分与や遺産相続、慰謝料については、実際に離婚するかどうかはともかくとして、理解しておくに越したことはありません」(山下さん) 次回は「熟年離婚での財産の分け方」について解説。退職金をもらえる場合の注意点や年金についてもお伝えします。
山下環さんのプロフィール
やました・たまき 弁護士・離婚カウンセラー。山下環法律事務所所長。1999年、旧司法試験に合格。2016年から2020年まで、東京地方裁判所非常勤裁判官(民事調停官)を務める。NHK「あさイチ」に離婚事件に詳しい弁護士として出演するなど離婚事件を多数扱っている。監修著書に『本当に必要なことがよくわかる 最新 離婚の準備・手続き・進め方のすべて』(岡野あつこ著・幻冬舎)がある。
浅野裕見子
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