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Wednesday, September 1, 2021

デジタル庁発足 国民がメリット実感する成果を - 愛媛新聞

社説

デジタル庁発足 国民がメリット実感する成果を

2021年9月2日(木)(愛媛新聞)

 菅義偉首相が昨年9月の自民党総裁選で新設を打ち出してからわずか1年。変革の激しいデジタル分野でスピードが重要なのは確かだが、懸念が残ったままの船出でもある。国民の不安や不信に応えながら、行政効率化などのメリットを実感できるようにしてほしい。

 デジタル庁がきのう、発足した。行政オンライン化などデジタル改革の司令塔となる。

 まず、新型コロナウイルスのワクチン接種証明書を年末までに電子化。今後はマイナンバーカードを保険証や運転免許証としても使えるようにする。自治体の事務では、子育てや介護など身近な手続きのオンライン化を進める。

 縦割りが目立つ行政の情報システムでも効率化を主導していく。自治体のシステムを統一するほか、各省庁の関連予算を一元管理する。

 行政サービスの拡充・向上にいまやデジタル技術は欠かせない。国民目線に立って要請をくみ取りつつ、高齢者らデジタル弱者も取り残すことなく、すみやかに実現してもらいたい。

 政府は2001年の「e―Japan戦略」以降、次々と施策を打ち出してきた。それによりインフラ整備は確かに進んだが、デジタル技術を活用したサービス向上は遅れている。

 コロナ禍はそれをあぶり出した。感染者の集計や1人10万円の給付、ワクチン接種などで混乱をきたし、接触通知アプリの不具合も発生した。痛切な教訓とせねばならない。

 今後の課題の一つは、個人情報の取り扱いだろう。

 6月に閣議決定した重点計画はマイナンバーの利用範囲拡大を掲げる。が、マイナンバーカードの普及率が30%台にとどまるように、情報の漏えいや悪用への心配は根強い。衆参両院もデジタル庁設置法の審議で十分な対策を求める付帯決議を採択した。利用範囲を強引に広げてカード取得を促すより、心配の声を丁寧に解消することが先決だと心してほしい。

 民間の人材を多く登用することに伴う懸念も挙げられる。出身企業との癒着を防ぐため入札ルールを策定したが、例外規定もあって不正の余地は残る。

 現に、デジタル庁の母体となった内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室では、東京五輪・パラリンピックで使うアプリの発注業務で不適切な対応をしたなどとして幹部らが処分された。厳しい監視が必要だ。

 成否の鍵を握る事務方トップのデジタル監人事では石倉洋子一橋大名誉教授が起用された。きのうは「世界における日本の地位を大きく変える機会にしてほしい」と訓示した。石倉氏は経営戦略などが専門で、デジタル分野でどのように手腕を発揮するか注視したい。

 自民党総裁選や衆院選が迫るなか、生みの親である菅政権の行方にかかわらず、取り組みを後退させぬ決意で成果を上げるよう求めたい。

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