最近のサイクルショップは、自転車やパーツだけでなく、補給食やサプリメントの売り場が充実してきました。それだけ自転車を乗る方の関心が部品やウエアだけでなく、身体づくりに関係する食品にまで広がっているということですね。栄養士の私としては嬉しい限りですが、選ぶ側としてはある程度の栄養の知識が求められます。今回はその選択の一助になるお話をしたいと思います。
体質に合った「形状」の選択を
まず、補給食の代表格、エネルギー系の補給についでです。これまでも連載中で何度かお話ししてきましたが、運動中の主なエネルギー源は炭水化物です。ただ、炭水化物と一言でいってもさまざまな形状があります。
ご飯やパン、バナナ等の食品としての固形物をはじめ、噛まずに素早くカロリーを摂取できるジェル(ゼリー)、水分補給と同時にカロリーを摂る液体。それぞれにメリットがありますので、好みはもちろん、摂るタイミングやご自身の体質に合わせて選ぶとよいでしょう。
【形状別メリット】
・固形物…咀嚼できるので、集中力を高めたり、消化液の分泌を促す(例: おにぎり、薄皮あんぱん、小さめのサンドイッチ、バナナ、濡れ煎餅等)
・ ジェル(ゼリー) … 小容量の個装やスパウト状になっていて飲みやすく、カロリーも1個120~200kcalとなっている。手軽で持ち運びしやすい。
・液体… スポーツドリンクやパウダーをボトルに溶かして飲むタイプの商品がある。パウダータイプだと、持ち運びしやすく便利。摂取しやすい。
スポーツ時のエネルギー摂取のタイミングについて、教科書上には「運動中に消化できないので、運動3時間前に食事を済ませる」と書かれていますが、皆さんもご存知の通り、自転車はパフォーマンス中にエネルギー補給を必要とする持久系スポーツです。
私たちの身体は血管から栄養(エネルギー)や酸素を取り込んで活動しており、運動中は主に筋肉中心へ、運動をしていない休息時間は消化器官へと上手に切り替えて活動を調節しています。ですが、運動中に補給を摂りながら行う自転車のようなスポーツでは、運動中でも消化器官の活動を維持できる体に鍛えることが重要です。
「何を摂っても大丈夫!」という丈夫な消化器官をお持ちの方は、お好きな形状の炭水化物で良いと思いますが、例えばジェル系のエネルギー補給を使っていて、いつもおなかの調子が悪くなる等の問題を抱えている方はいませんか? 胃液の分泌など消化器官の活動は咀嚼を合図として活発化します。噛まずに摂れるジェルや液体はこの準備が出来ていないため、お腹の調子を壊したり、不快感を伴う可能性が高まるのです。
そのような問題を抱えている方は、一度固形物の摂取に変えて消化器官のトレーニングをしてみるのも一つの手です。食べ物を受け付けない体は少しずつ慣らしていくことで、受け入れられる体質に変えることが期待できます。
ランよりも内臓の上下動が少ない自転車は、比較的消化器官を鍛えやすいスポーツです。ただ、急にたくさんの食べ物を入れて消化活動を行おうとすると不慣れな体はびっくりしてしまいますので、運動中に少しずつ食べる量や頻度を増やしながら強化していくことをお勧めします。
炭水化物の種類と特徴
また、炭水化物にも種類があります。エネルギー補給には主に、ブドウ糖、パラチノース、マルトデキストリン、でんぷんなどが用いられます。それらの違いを説明してきましょう。
まずエネルギー源の最小単位であるブドウ糖は、吸収が速いためエネルギーが枯渇してきて動きが鈍くなってきた際に摂ると即効性があります。しかし、一度に大量の量をとってしまうとインスリンショック(急激なインスリン分泌により血糖値が元の状態よりも下がってしまうこと)が起きるため注意が必要です。
でんぷんはこのブドウ糖が多数連なった構造をしており、エネルギーとして使われるためにはブドウ糖にまで分解するための消化に時間を有すため、身体に吸収されるまでには時間がかかります。また、定期的に摂取することが必要ですが、少しずつエネルギーを供給できるため長時間の運動には向いているといえます。
最近は、でんぷんよりも分解されやすいマルトデキストリンがサプリメントに利用されており、より消化に負担をかけずにエネルギーを供給してくれます。
この他に、イソマルツロース(製品名:パラチノース)も注目され始めています。 砂糖から作られる甘味料で、甘さが砂糖の1/2で血糖値が穏やかに上昇するため、血糖調節に負担をかけず長時間の運動を可能にします。近年、持久系スポーツにおけるパラチノース摂取の効果に関する研究結果も多数報告されています。
これらの特徴を知った上で摂るタイミングを考え、その時々に応じた炭水化物を選択できると良いでしょう。
【炭水化物の種類】
・ブドウ糖…エネルギー切れに対して即効性があるが、 一度に大量摂取するとインスリンショックの危険性もあり 。
・でんぷん…吸収に時間を要する分、少しずつエネルギーを供給できるため長時間の運動に適している。
・マルトデキストリン…でんぷんよりも分解が早く、消化に負担をかけずにエネルギーを供給。
・ イソマルツロース…消化吸収速度が緩やかで、血糖値が穏やかに上昇。長時間の運動を可能にする。
試して見つける自分スタイル
私がロングのトライアスロンレース(スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195km)で、とくにバイクセクションで心がけていることは「いかに効率よくエネルギー補給ができるか」です。バイク後のランで全力を振り絞れるか否かは、バイクセクションでいかにしっかりとエネルギー補給が出来るかにかかっているからです。
以前はジェルの甘さが口に残る不快感が苦手で、おにぎりやバナナを補給食にしてました(ベントーボックスに大量に入れたり、バックポケットに2口サイズのご飯玉を作って入れ込んだり) 。しかし、近年は補給食も様変わりしてきたので、準備が面倒な固形食はほどほどに、エネルギー補給のメインをドリンクから摂取するスタイルに変えました。固形物はレース途中でトイレに行きたくなる要因にもなるからです。
しかし、私の場合はドリンクだけだと集中力が切れたり、消化管にも負担がかかると感じたため、結果的に消化液の分泌を促すために必要な咀嚼ができる固形物を摂るようにしました。前回出場した「アイアンマンレース」では、非常に暑さが厳しい環境でしたが、おかげで消化管トラブルもなく、エネルギーは満タンで走り切り、レースを終えることが出来ました。
エネルギー戦略の正解は1つではありません。私もこのスタイルになるまでに試行錯誤を繰り返し、練習中に実際にレースに使用する補給食を何度も試して、自分の体に合った方法を探してきました。皆さんもぜひ、それぞれの炭水化物の特徴を念頭に入れて、ご自身の身体にマッチする補給食や補給方法を探してみてください。
次回はこの続きで、「サプリメントを選ぶ上での考え方」について解説します。
小川静香(おがわ・しずか)
公認スポーツ栄養士、管理栄養士、博士(医学)。食アスリートジュニアインストラクター。日本女子大学卒業後、東北大学大学院医学系研究科運動学分野を修了。3歳から水泳を始め、国体も経験。大学院在学中にトライアスロンにハマり、2009年に念願の日本選手権に出場。同年佐渡国際トライアスロンAタイプで優勝を果たす。スポーツトレーナーを目指す学生の指導にあたる他、スポーツ栄養の知識を自ら実践し、栄養教育活動や栄養セミナーで伝える。現在はアイアンマンレースに向けた練習と共に筋トレにも精力的に取り組み、ボディメイクに奮闘中。
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